胸の痛みについて

一言で胸の痛みといいましても、様々な原因が考えられます。
胸に痛みを感じたときに、まず思いうかぶのは心臓の異常ではないでしょうか
特に左の胸の場合には、そこに心臓があるため必要以上に不安になる方が
多いようです。
心臓病は日本人の死因の第2 位で、今後も増えると予想されています。
特に、急性心筋梗塞では毎年4万人以上もの方が亡くなっています。
突然発症して命取りになる場合もありますので、胸の痛みを感じて恐怖を感じるのも
無理はありません。

しかし、胸には心臓、大動脈、肺、食道、胸壁があり、これらすべてが痛みの原因と
なり得ます。
また、疲労やストレス、生活習慣などが原因の場合も多々あります。

不安感から必要以上に心配し、胸の痛みがかえって強くなることもあります。
胸に痛みを感じたら、発症の時期、部位、程度、持続時間、随伴症状などの特徴をよく
観察・整理し、医師に伝えることが大切です。

但し、胸の痛みを伴なう症状の場合に、治療を急ぐ場合があるのも事実です。
左の胸、右の胸、背中など、部位に関係なく胸の痛みを感じたらできるだけ早く受診する
ようにしましょう。


原因は?

検査をしても、異常がなく、それでも胸の痛みが続く場合には疲労やストレスによる
自律神経からの症状、不安障害などが考えられます。
症状が長く続く時は、心療内科や神経科を受診されることも考えてください。

また、カッとしたりイライラしたりして過度に感情の変化が原因で、一時的に
胸が痛むこともあります。

人間はストレスを受けると、体質的な症状が強まる傾向があります。
胸の痛みの場合も例外ではありません。

普段から睡眠を十分に取り、バランスのいい食事を心がけ、体調を整えてください。
残業をできるだけ控えたり、休日に休養の時間もつくることも大切なことです。

胸の痛みには様々な原因が考えられると言いましたが、以下のような意外な
理由の場合もあります。

●胸の痛みはゴルフが原因!?

ゴルフ好きの方で胸が痛むという場合、肋骨が疲労骨折を起こしている可能性があります。
この場合、咳をしたり体を少し動かすだけでも痛みを感じることがあります。

骨に繰り返し無理な力がかかって亀裂が生じた状態を疲労骨折と言います。
この症状は、練習熱心な方ほど起きやすくなります。
普段から鍛えているプロと違い、筋力が余り強くなくスイングが不安定なアマチュアゴルファー
には特有のスポーツ傷害です。

しばらくゴルフを休んで、スイングをしないようにすれば胸の痛みは少しずつ引いていきますが、
痛みがひどいときや長引くときには、整形外科を受診してください。

胸の痛みの原因が内臓なのか、骨なのか、ストレスなのか、女性であれば妊娠が原因なのか、
そこがわかるだけでも不安が解消される場合があります。

何はともあれ、原因がわかって安心するためだけにでも早めに受診してください。


怖い病気

ここまでは、胸の痛みには様々な原因が考えられるということを書いてきましたが、
そこから考えられる症状が、命に関わる重大な病気の場合もあります。

胸の痛みから考えられる主な病気のなかで、特に緊急を要する病気には、狭心症、
急性心筋梗塞、急性心不全などよく耳にする重病が含まれます。

我慢できないほどの胸の痛みの場合は当然ですが、突然の動悸、胸のもやもや感・痛み・
めまいなどを感じるようでしたら一度検査を受けてみてください。

これらの検査にはCT、シンチ、内視鏡などの専門的検査が必要になりますので、
ある程度設備の整った病院を選ぶようにしましょう。

気休め程度になりますが、痛みの範囲が狭く、痛む場所を指1本で指し示せるような場合は、
心臓病や内臓の病気ではない可能性があります。
このような症状の現れ方をする胸の痛みの大半は、内臓ではなく、神経痛や筋肉痛などの
表在性の痛みの場合が多いのです。

しかし、上記のような症状の場合でも安心はできません。
何度も言いますが、何かしらの異常を感じたら早めに受診してください。


女性特有の乳腺症

女性特有の胸の痛みとして、生理前や妊娠初期に感じる乳腺症があります。

乳腺とは、母乳を作り分泌する働きをする臓器の名称です。

乳腺症は女性ホルモンの働きと、その影響による生理的変化に密接な関係があります。
乳腺は一般的に、妊娠、授乳の準備を始めるため、生理前に張ってきます。
生理直前には乳房は平常時の30%から40%も容積を増やすと言われています。

乳腺は月経周期に伴い、このような機能的・構造的変化を繰り返しており、妊娠や授乳に
よってその変化はさらに大きなものとなります。
若い時には、周りの組織も弾力性があり乳腺の変化に対応しますが、年齢を重ねると
乳腺の変化を痛みとして感じるようになります。

乳腺症は妊娠中絶経験者、出産経験が少ない方、授乳経験がない方などに多い傾向があります。
それ以外にも、ストレスや食生活も影響を与えるようです。

但し、こうした変化は女性であれば正常な体の変化で、通常は治療の必要はありません。
病院によっては病気ではないと判断されます。

気になるようでしたら、乳癌の可能性も考慮し、触診、マンモグラフィー、超音波などの
検査を受けてください。

現在では、乳腺症だからといって、特に乳癌になりやすいわけではないということが研究などに
よって発表されています。


神経痛と筋肉痛

胸の痛みで一番多いのは神経痛と筋肉痛です。

神経痛で胸の痛みと言えば、肋間神経痛が上げられます。

肋間神経とは、肋骨と肋骨の間をつなぐ筋肉の間を通る末梢神経で、背中から胸腹部に
分布します。

症状としては、神経が骨や筋肉の間にはさまれて刺激され、強い痛みが走ります。
これは体をひねったり、棚の上のものをとろうと伸びあがったりと、不自然な姿勢や疲労から
突然起こります。

冷房の効き過ぎも原因の一つといわれています。
ほとんどの場合、右側か左側、どちらかの片側だけが痛みますが、たいていは一時的な
ものです。
しかし、痛みがひどいときや長引くときは、胸の骨の変形、帯状疱疹やウイルスなどによる炎症、
脊髄の病気やがんの転移などの可能性も有ります。

肋間神経痛は肋骨の疲労骨折と間違われることもありますが、圧迫によって痛みが増大する、
深呼吸ができにくい等の症状で判別が可能です。

次に筋肉痛ですが、筋肉痛の原因は様々です。

筋肉痛の原因で多いのが、運動のしすぎや使いすぎです。
普段あまり身体を動かさない方や、筋力の弱い方が慣れない運動や作業で普段使わない筋肉を
使いすぎた場合、筋肉痛になります。
打撲や捻挫のような怪我に関連した筋肉痛もよくみられます。

軽度の場合は、その後筋肉を休ませれば48時間程度で回復します。
しかし、重度の場合は痛みがひどく、炎症を起こしている可能性もありますので整形外科で
治療が必要になります。

筋肉痛には他に、インフルエンザなどの感染症や、自己免疫疾患、寄生虫が原因の場合も
あります。
特に運動などをしてもいないのに、筋肉痛のような症状が出る場合は上記の原因が
考えられますので、内科の診察を受けたほうがいいでしょう。